新光建設

施工計画書の作成で押さえておきたいポイント

建設業界において、工事を進めるための必須書類が施工計画書です。発注者に求められる品質の工事を完成させるために、作業の工程や役割分担、手順、管理の内容など、作業計画に関するあらゆる事柄が記されます。計画の詳細を事前に考え、決定し、施工計画書という文書として残すことで、実際に作業をするスタッフ間で作業計画に関する情報を共有しやすくなるという利点があります。

そんな施工計画書に対して、多くの建設業界スタッフが次のような疑問を持っています。

「施工計画書は誰が作るのか?」

発注者から建設工事を請け負うのは元請け業者ですが、場合によっては下請け業者に一部の作業を委託します。その際、書類の作成はどちらが担当するのか、と悩む方が多いそうです。

結論から言うと、基本的に施工計画書は、現場監督にあたる元請け業者の責任者が作成します。しかし、元請け業者の中には、下請け業者に施工計画書の作成を頼むケースもあります。下請け業者に書類の作成を依頼すること自体は問題ありません。ただし、監督員に提出する前に、責任者は必ず内容に目を通し、確認しなければなりません。下請け業者が作成した施工計画書が複数に及ぶ場合は、それぞれの内容を調整して1つにまとめます。

ちなみに、通常、施工計画書は、作成者である元請け業者の責任者から監督員に提出されます。下請け業者に作成を依頼した場合も同様で、責任者が下請け業者から完成した書類を受け取り、監督員に提出します。

責任者が施工計画書の確認や調整に携わることは、建設業法によって定められています。確認や調整を怠ると、「下請け工事に実質的に関与していない」と見なされ、建設業法に反していると捉えられる可能性があります。

以上の理由から、元請け業者の責任者は、下請け業者に施工計画書の作成を任せる時も、最終的には必ず内容を確認するようにしてください。また、きちんと作業に活用できる施工計画書を作ってもらうためには、下請け業者に対する適切な指示や指導も必要です。

下請け業者に施工計画書を作ってもらう場合は、以下の事項を事前に伝えておきましょう。

5W1Hを用いて書くこと

施工計画書は、誰が読んでも分かりやすいように書くことが大切です。スタッフ全員が作業計画を把握し、監督員がいない場合も問題なく作業を進行するためです。分かりやすい書類の作成には5W1Hを使います。

誰が(Who)、いつ(When)、どこで(Where)、何を(What)、なぜ(Why)、どのように(How)

この6点に沿って内容を考えることで、自然と誰にとっても分かりやすい書類になります。

提出する期限を厳守すること

施工計画書は、最終的に監督者や発注者の承認を得ます。承認が得られない可能性も考慮して締め切りを設定しましょう。

書類の作成は、早いと数週間で終わります。しかし、記載内容が詳細になればなるほど、完成までの期間は長くなります。場合によっては1ヶ月以上かかるため、早めに着手する必要があります。施工計画書の提出目安時期は、作業開始の3週間前です。その時期には監督者や発注者に承認をもらえるように期限を設けましょう。

テンプレートを使うこと

複数の下請け業者に施工計画書の作成を依頼する場合、それぞれの業者が別のフォーマットを用いていたら、最終確認に時間がかかります。まとめることが難しく、内容に漏れが生じる可能性も考えられます。フォーマットを指定することで、責任者が確認しやすく、必要事項がすべて記載された施工計画書が完成します。

テンプレートは、既存のものを購入することを推奨します。いくつもの種類が用意されているので、作業内容によって使い分けられます。ダウンロードしたデータは編集可能なので、実施する作業に適した内容に変更することも可能です。

元請け業者の責任者が作る場合も、下請け業者に作成を依頼する場合も、施工計画書の役割は変わりません。作業に活かせる施工計画書にしましょう。